Hummming

フンフンフン

土に還す

明るく楽しく、嘘でも元気に振る舞っていないと
世間じゃ「生活態度不良」と見なされるわけです。
でも「自分に嘘はつきたくない」とか「素直さ、自然さ」が
世間じゃもてはやされるわけです。
いやあ、難しいわあ。おくさまです。


そういえばさ、アベが死んじゃったね。
元・THEE MICHELE GUN ELEPHANTのギタリスト、アベフトシ


私はとりたててTMGEのファンだったわけじゃないけど、
小・中学生くらいかな、千葉テレビでよくPVを見ていた。
当時はまだフォークとかポップスとか、そういう枠から出ない
(ある意味でまだ了見の狭い)子だったから
「嫌いな音楽」の代表格としてTMGEを見ていた。
「ガチャガチャ、ぎゃんぎゃんしててうるさい」って。
それなのに、「GT400」がリリースされたときの
あの不快感は何だったんだろう。
「何を無邪気に気楽に歌っちゃってんの?
 ギリギリの声で音で、叫ぶように歌ってくれないと!」
ってすごく不満に思った記憶がある。千葉テレビを見ながら。


「バードメン」とか「ゲット・アップ・ルーシー」とか「スモーキン・ビリー」とか。
解散してから言うのもなんだけど、改めて、もう生では聴けないんだな。
青春、って言ったら私の場合ちょっと違うんだけど、
自分の生きていた時間があからさまに過去になっていく感じが、
ちょっと切ない。


風知空知に行けばきっとTMGEが流れているんだろうな、と
思ったけれど、今日は行かなかった。
キヨシローが死んで、マイケル・ジャクソンが死んで、三沢光晴が死んで、
それでも私たちは生きていかなくてはならなくて、働かなくてはならなくて、
そのためには歴史を土に還して忘れていかなくてはならなくて。
私なりのアプローチとして、今日は風知に行くのをやめた。


有名無名に限らず、
リアルタイムで好きだの嫌いだの思っていた人間が
歴史上の人物になって埃をかぶっていく。
歯止めは利かない、これからもきっと山のように増えていく。
そして、それを過去の出来事として積極的に埃をかぶせて、土に還していく。
歳をとるということには、そういうことも含まれているんだ。と思う。


いいかげん泣いてばかりじゃなくて、
土に還すことも身に付けていかなくちゃいけない。


「鬼」とまで評されたんだってね、ギターを弾くアベは。
いやあ、知らなかった。それは一度観ておきたかったなあ。
観ておきたかったけれど、もう彼は歴史上の人物になってしまったから。
ああ、これは困った。もっと生きていてくれればよかったのに。


「どんなに願っても、どんなに欲しても、叶わない事が、世の中にはある」
これもまた、歳をとってはじめて知ったこと。
これが理解できれば、何事も土に還せるような気がする。


難しいわあ。