Hummming

フンフンフン

帰れない三人@新宿紅布

今日はかみぬまゆうたろう、沢田ナオヤ、無頼庵の「帰れない三人」。
私の中でも毎月恒例になってきたなあ。つい行ってしまう弾き語りイベント。


既にかみぬま君のライブは始まっていて、多くの人がステージを見つめていた。
彼はとても堂々と歌う。声の限り、力の限りに歌ったりはしないけれど、
どこまでも遠くまで、隅々まで響きわたるような声で歌う。
最後に告知と、震災についての話。かみぬま君は親しい友人が福島で被災した。
「募金箱を設置しています。
 まだ一度も募金をしていないという人はいないと思いますが、
 そう信じたいですが、ちゃんと届けますんで、
 絶対に、募金していってください」
「あの、1円とか、やめてくださいね」
そんな言葉を発する人だとは思っていなかったので、とても驚いた。
深く、強く思うところがあるのだろう。その気持ちは察するに余りある。
「家で練習してたら、これ地震の歌だなー、と思いました」
最後に演奏したのは「迷子」。まさに、私もそう思いながら聴いていた。

もう君には会えないな さようならも言えなかった
ケンカの途中で・・・
別れの瞬間は 突然訪れる

かみぬまゆうたろう「迷子」

現場には、そんな場面がたくさんあったことだろう。そう思うと胸が詰まった。
と同時に、身近な人を失った人たちは苦しくて気が狂いそうになって、
この歌をとても最後まで聴いていられないんじゃないかな、と想像した。


続いては今回のゲストである三上寛氏。初めて観た。
ロックというよりも、昔実家で聴いたAMラジオの演歌のよう。
海外とか日本とか、邦楽とか洋楽とか、そういう区別以前の民俗的な響き。
歌う、というよりも、吠える、という言葉のほうがずっと合っている。
最初は「何だろう」と思っていたけれど、どんどん引きこまれていって、
ステージから目を離すことができなくなった。
凄まじかった。


続いて沢田ナオヤ氏が歌い、
(彼が持つ狂気のようなものに、私はなかなか慣れることができない)
最後は無頼庵
同郷の出身である大先輩の三上寛氏を前に、そしてその迫真のライブの後で、
感情が振り切れた堀内氏の眼の色はすっかり変わっていた。
朴訥と語るMCは相変わらずだが、ひたすら津軽弁にこだわる。
そして昔話を2、3話した後で歌った「愛憎シャフル」。
声の限り叫ぶ。引っ掻くようにギターを鳴らす。とにかく暴れる。
初めて、ライブを観ていて「怖い」と思った。
誤解を恐れず言葉を選ばずに言えば、明らかにおかしかった。
終演後に話し掛けることも、近寄ることすらためらうほどのステージだった。


長居をすることなく、早々に帰った。
出演者全員が何らかの鋭さを持っていた。怖かった。忘れられないな。