Hummming

フンフンフン

音楽がいなくなった

今日は仕事を早々に切り上げて、「帰れない三人」を観に新宿紅布へ。
無頼庵の出番は19時半過ぎだと聞いて慌てて副都心線へ飛び乗った。
到着すると、かなりたくさんの人出。後方に詰まっている感じだけど、
椅子席も最前列の2、3席くらいしか空いてないみたい。すごいなあ。


かみぬまゆうたろう氏が残り数曲というところだった。
メガネで、中肉中背で、カーディガンで、なんかもうそれだけでずるい。
歌ももちろん良かった。これは知ってよかった。
機会があったらちゃんと観たいな。次の帰れない三人とかで。


次が無頼庵
「なんか、すいませんでした」と「くらえネガティブパワー」みたいなことを
延々と連呼していたのが面白かった。どうしたんですか堀内さん。
ここ数週間よく聴いていた「スープ」が聴けたこと、
ちょうど朝聴いていた「まるめろ」が聴けたことで満足。


MCはあんなにぼそぼそと喋るのに、曲が始まった途端、
それまで抑えていたものをすべて解放するように声の限り歌う。
「早く終わって飲みたいな。・・・うそです、歌うのが楽しくて仕方ない」
という言葉を聞いて、じわりと胸が熱くなった。
あれ絶対本音だよ。


その後はゲストのアベジュリー
アベジュリー氏は魅せ方、楽しませ方をよく知っている人だなあ。
どうしたら笑うか、どうしたら喜ぶか、よくお客さんを見ているんだと思う。
それに加えて歌声がめちゃくちゃカッコいい。
曲は1曲も知らなかったけれど、持ち時間は超過していたけれど、
フロアには終始笑い声や歓声が響いていた。


CD売ってたら買う!と思ってたけどないみたいだった。
でもまた観に来たいな。電化アベジュリーもソロも。
あとベレー帽がすごく似合っていたので茶飯事さんと共演してほしい。安直。


トリを務めたのは沢田ナオヤ氏。初見。
高田渡が若返ったような、フォーク的な大人の風貌なのに声は幼い感じ。
そして歌いだすと堂々としているのに、歌が止むとやたら落ち着きがない。
ステージ上をチョコチョコと動きまわっておちゃらける。不思議な人。
ふわんとした雰囲気が心地良くて、まどろみながら聴いていた。


3、4曲目ぐらいだったろうか。
突然、歌の途中で「うるさい」と言い、演奏を止めた。
その曲を演奏する前、フロア後方で話している人に向かって
「しーっ」と静かにするよう促した直後のことだった。
フロアの空気が瞬時にして凍った。
「ごめん、もう続けられんわ、ごめんな」
「びっくりした?ごめんごめん!堪忍な!僕がびっくりしたわ」
怒りと謝罪を交互に現していて、本人もすっかり動揺しているようだった。
その後ライブを続けたものの、一度凍った空気が元に戻ることはなかった。


どうなんだろう。
大切な歌だったのかもしれない。集中力が切れてしまったのかもしれない。
でも、ライブハウスで全員がお行儀よく耳を傾けていることはほぼあり得ない。
もちろん、騒音や話し声でライブを楽しみにしている人のじゃまをするのは
お客さんにとっても出演者にとっても迷惑だからやめてほしい。
けど、だからといって空気を寸断するのは良い判断だったのだろうか。
意見や思うところは人それぞれだろうけど、私は、苦々しい気持ちになった。
とても、非常に、残念。


私は、アンコールの拍手はしなかった。観たいと思えなかったので。
最後に帰れない三人メンバーが揃って沢田氏の「ロングトーン」でセッション。
3人の声の重なりがとても綺麗だったなあ。だからこそ、非常に残念。