Hummming

フンフンフン

その時涙は頬を伝うだろうよ

昨日は訃報を知ったあと、会社の後輩とYouTubeのPV上映会をして、
ひとしきり盛り上がって帰った。
「花屋の娘」はやっぱり青くさかったし、
「赤黄色の金木犀」はやっぱり風情があったし、
「銀河」のダンスはやっぱり気持ちが悪かったし、
「Surfer King」は思っていた以上に柄が悪かった。
とにかくカッコいい!志村最高だ!と、わりと晴れやかな気分で後輩と別れた。


でも独りになった途端、どうしようもないほどの悲しさに襲われた。
心拍数は上がるし、呼吸は荒くなるし、全身の力が抜けなくなった。
叫びたかったし、泣きたかった。
そのまま、半ば逃げ込む形で深夜のカラオケ屋に立ち寄った。
マイクを使わないで、ありったけの声量でフジファブリックの曲を歌った。
1時間歌って帰宅してからは、大好きな『アラモルト』を流して布団に入った。
「茜色の夕日」を聴きながら、布団の中で声をあげて泣いた。


気がつけば朝。
泣き疲れて眠ってしまったのだと思う。
とりあえず用事を済まそう。
不動産屋に家賃を払うのと、SoftBankの店に予約していた商品を引き取りに行く。
無理にでも体を動かせば気分もいくらか晴れるかもしれない。そう思って。


当然のことながら、外の世界は至って普通の土曜日だった。
不動産屋のおじさんも、SoftBankのお姉さんも、とても爽やかな笑顔だった。
私は今日が出勤日じゃなくてよかった、と思いながら、何故笑えるのだろう、と思いながら、
私にとって大事な人が死んでも、こうして日常は平気な顔をして続いていくことを感じた。
人が1人消えることは、世界の上ではこんなにも儚くて小さな出来事なのか、と思った。


今日は中村ジョー氏のトーク&ライブに行くことにしていたけれど、私は行かなかった。
ライブはさておき、トークなんて耳に入るはずもないと思ったから。
ところどころに挟むジョークや興味深い話に、自分が反応できる気がしなかった。
新高円寺のライブハウスでは、毎年恒例のオールナイトイベントが開かれていて
大好きなミュージシャンがたくさん出ているのも知っていたけれど、行くのが怖くてやめた。
カバーを演奏されたり、DJでフジの楽曲を流されたりしたらとても堪えられないと思った。
下北沢の行きつけのカフェバーでは常連客の忘年会に誘っていただいていたが、
みんなと笑顔で話せるほどのエネルギーがなかったので、それも諦めた。


結局、ほとんど家を出ないまま、一日を終えた。
ふと思い立って、テルスターの「ホントのところ」だけリピートで聴いた。

心ふるわせたこと

心ふるわせたこと

叶わぬことなどまだまだあると思うよ その時涙は頬を伝うだろうよ
何度も何度も問い続けてもいいだろう 意味がないこと分かっていても・・・
テルスター「ホントのところ」より

この選曲は正しかったな、と自画自賛をしながら、ちょっと泣いた。