Hummming

フンフンフン

ここのところ

涙もろくて仕方ない。
お婆ちゃんか私は。いや違うのだけれど。


今日はソガさんに会ってきた。
ソガさんというのはもう80余歳にもなる、母とは年の離れた旧友である。
なんでも母が働いていた頃からの仲なんだとか。
兄弟や子供たちに先立たれ一人で暮らしていたのだけれど、
ここ数年は痴呆が始まって老人ホームのお世話になっている。


前に会いにきたときは病院のベッドにいた。
次に会いにきたときは頭をベッドにくくりつけられていた。
この間会いにきたときは私のことが分からないようだった。


他愛のない世間話などをぽつりぽつりと交わして、帰ってきた。


老人ホームに越してから会うのは初めてだったけれど、
ソガさんはちょっとだけ可愛らしくなっていた。
ちょこんと椅子に座って、柏餅を食べていた。
寝たきりだったり頭をくくりつけられたりしていなかった。
母や私のこともしっかり覚えていてくれた。


施設の人が話し掛けてきた。「もしかして○○さんですか?」
「ソガさん、昨日からずっと楽しみにしてたんですよ」
よかったねぇ、と声を掛けられてソガさんは少し照れていた。
すごくうれしかった。


もうこの先そんなに長くはないと思う。
残り少ない人生で、会いたい、と言ってもらえたことが嬉しかった。
いや、なんかそーいうんじゃなくて、
…とにかくもう、単純に嬉しかったのだ。


またソガさんに会いたい。ただそれだけを願う。