Hummming

フンフンフン

『他人の不幸・弔問客編』レポ

柿喰う客第7回公演『他人の不幸・弔問客編』を観てきましたよ。
早稲田大学学生会館、すっごいね。キレイ。中にコンビニがあるのも驚き。
でも会場が地下2Fで空気が澱んでたのか、終演後ひどい頭痛です。


旗揚げ公演『サバンナの掟』、第3回公演『口だけの女』に続く
女体三部作の最終章、と銘打たれた(今公演の発表まで知らなかった)
第7回公演『他人の不幸』は弔問客編と未亡人編の2部構成。
ヤクザの親分が自殺し、組が一つ解散することに端を発します。
それによって残された組員と兄弟分である2つの組の騒乱、
その上ネット系ヤクザおたくまで絡み合う、柿喰う客らしい
アンダーグラウンドかつサブカルチャー色の強い作品です。
私ね、柿作品の中でも『サバンナ』『口だけ』が一番好きなのですよ。
その2作品に続く女体三部作と言われたら期待しないはずがない。
…しかし毎回期待しすぎているのでしょうか私は。特に今回。


話の筋は一本スッと通ってる感じで非常に分かりやすかったです。
下手したら何の話だったか思い出せない芝居もあったもんね。(苦笑)
でも観終わったとき「えっ!終わり!?」って何だかしっくりこなくて。
今回の不満は何だろうか…と帰りに色々と考えた結果分かったの。
オチらしいオチがないの今回の作品。
組長が死んだ→組が解散→上手い仕切りで抗争も起きず丸く収まった→
それが不満な元組員が残りの組に喧嘩の火種を落とす→案の定抗争→
満足げな元組員→しかし足を洗った元若頭がそいつを殺して終了。
観かたによっては「なーんだオチついてるじゃん」と思うでしょうが
この若頭、すーげーえ威厳ないんですよ。だからオチにならない。
間違った元組員が「わーいしてやったりだぜヘヘヘ」って浮かれてたら
普通は兄貴分(か姐さん)が「いい加減にしな」と鎮めて完!でしょ。
微妙な位置の人間が突然ラストシーンに出てきてパパッと殺して終わりじゃ
そりゃあ「え?え??」って動揺しますよ。意味不明ですよ。
終演後の劇団員対談でも中屋敷氏が言ってたけど、柿喰う客という劇団は
子供が観ても分かるくらいベタだけど子供に見せられない芝居
をするんですよ。ダサかっこいいっていうか。それが味になってる。
それだったらオチまでベタにつけてくれたっていいじゃないか!!と。


役者としてはね、斗澤さんがすごく良かった。
よく猫背で変な声と変な抑揚つける気持ち悪い芝居あるじゃないですか。
狂気じみたサイケデリックな感じの。…変態的で好きなんですが。(笑)
あーいう感じで演じる人がやたら多かった!特に今回目立つ!!
全員そう演技指導受けてんのかと思うくらい。学生演劇に多いの?
でも斗澤さんはそうじゃなくて自分の感覚で演技してたのが良かった。
コロさんはさすがカッコよかった!極道の妻が似合う!!
ただ途中から関西弁になったことに誰もツッコまないのは消化不良です。
あと宙男さんがステキです。前回は否定したけど認めるよもう。(笑)
でもなよっちいだけじゃなく組長らしく渋い場面が欲しかったよね。
これは宙男さんにというより台本に注文つけるところだけど。


うーん、とにかく未亡人編の出来にまたもや期待してしまう私なのでした。
こんなに文句を言っといて毎回観てしまう私って何なんだろう。(苦笑)