Hummming

フンフンフン

弱おくさま

新春寄席が終わった。終わったよ、やっと。
ようやくひとつ終わった。

反省会では案の定酷評された。というか評価のしようがなかった。
そりゃそーだ、あんなので「よかった」なんて言われるほど
ショボい落研だったら今頃残ってないさ私だって。
でもそんな落研が主催する寄席であんな落語やっちゃあ。ねえ。


本当に寄席に出たかったのか、と己に問うてみる。
「やりたい噺があるから寄席をやった」
先輩から聞いた言葉。そのとおりだと思う。
やりたい噺がなければ、寄席なんてできやしないということ。
冷静に考えれば、なかったのかもしれない。

ギリギリまで「どうしよう、どの噺をやろうか」と悩んでいた。
そしてバイト、出張落語とその問い合わせ、寄席の準備作業。
極めつけはゼミの締め付けがグーッとかかってきやがった。
正直、途中から「もう無理だ」と思ってしまっていた。
できることなら寄席の演者を辞退したいと思った。
しかしそんなことが今更できるはずはない。

「練習不足」「批評以前の問題」分かってるよ、そんな事。
「悔しくないのか」「プライドはあるのか」当たり前じゃないすか。
私の思いをそのままなぞっているだけ。目新しいことはない。
「何か他のことを削って一つのことに集中するべき」
それゼミでも言われたよ。それで落研を削らされたんだよ。
挙句の果てには皮肉を吐かれた。
「アンタに任せたのがバカだったよ、ごめん」ってか。

本当に腹が立った。

「おくさまならやってくれるだろう」
いったい何の期待なんだよそれは。お前がやれよ。
落語をしなければならない。寄席に出なければならない。
そんな強迫観念がどっかにあったのかもしれない。
プライドがそうさせたのだろうか。名前のプライドが。

「やりたいことをやる」そんな単純なことを今まで忘れていた。
これからはもっと自分のために生きよう。そう思う。

何でその仕事を私がしなければならないの?
そう思うことがたびたびあった。特に今回の寄席。
くたくたにさせて、さらに二重三重の負担を掛けて、不出来を罵る。
何なのそれは?もしかして1年の頃の復讐ですか?

私は「必要とされている」んじゃなくて「利用されている」だけ。
そう思うとここでの自分の存在価値が分からなくなってきた。
考えれば考えるほどマイナス思考に陥る。
単なる考え過ぎであるのは分かっているけれど、
ゼミでの一件もあって最悪の事態まで考えてしまった。
いや、本音を言えば、考えて「いる」。

こっそり相談しようと思ったけど話す機会がなくてできなかった。
そんなことを言えばきっと引き止められるだけなんだけど
(そしてそれはちょっと嫌だったりもするんだけど)
誰かに聞いてほしかった。味方が欲しかった。

私には味方がいないのかもしれない。