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フンフンフン

白石一文「愛なんて嘘」

愛なんて嘘

愛なんて嘘



たまには自分の世界から出てみよう、見聞を広めてみようと手に取った『愛なんて嘘』。noteだったかどこかで作者インタビューを読んだのも引き金になって読みました。

短編集なので読みやすいです。20、30分とかちょっとした時間があれば読むのが遅い私でも1編読みきれます。それは作者の文章の明解さや、行間のゆとりにも要因があるとすればブックデザイナーが素晴らしかったとも言えるでしょう。

でも私にはこの本の面白さが伝わらなかったなあ。ファンタジーやフィクション性はあれど、特殊っていうほど特殊なラブストーリーのようには思えなかったし、これといって感情移入することもなく、「へえ」「ふうん」ぐらいしか言うことがありませんでした。

そりゃあ男女は別れるし、人は死ぬし、結婚しても他人は他人でしょうよ、と。

ああ、そうだ。「他人」という前提で一定の距離を保つことを良しとする私には、「身内」という前提ですべて一心同体を信じる(ように感じられる)本作が理解できないのかもしれない。なんか、そんな感じかも。材質が違うというか、パラレルワールドというか、似て非なる別世界なのだと思います。

だから想像するに、彼氏/彼女/妻/夫とめちゃくちゃ相思相愛で互いをしっかり信じ合っている人には面白いのではないかと思います。実際どうか、ではなく、そんなことを言えちゃう人にはおすすめしようと思います。